ガックリしましたか?
変な映像を観てしまった。
30代半ばと思われるアジア系の女性(仮名:A子さん)が、大きな画用紙を片手に、道行く人々に声をかけている。おそらく、路上インタビューを試みているのだろう。街並みの風景から察するに、そこは米国・北東部、うん、きっとボストンあたりに違いない。
音声のボリュームをあげると、そのA子さんの口から聞こえるのは日本語だ。そして、画面には映らず、声だけしか聞こえないもう一人の人物が存在する。この若い女性(仮名:B子さん)は、A子さんを追うように、相手に英語で問いかけている。ふーむ、この状況から、A子さんはプロデューサー、B子さんは通訳さんだろう。
これは日本のどこかのテレビ局による、ボストンにおける街角インタビューであるらしい。
しかし、このA子さんB子さんコンビに快く質問に応じているのは2、3人くらいで、ほとんどは、あからさまに不機嫌な表情を見せ、両手を左右に振りながら、カメラから遠ざかってゆく。
A子さんが持つボードには日本語と英語併記でこう書かれてあった。
“Are you disappointed with Dai-S-Ke?”
“松坂投手にガックリしましたか?”
獲得交渉の段階で5億円を手にした鳴り物入りのピッチャーが、最近負け続きということで、地元ボストンのファンが松坂投手の仕事ぶりをどう見ているのか、その反応を日本のお茶の間にお届けしようとしているらしい。
この編集加工されていない、日本のTV局による生のVTRを、昨夜、自分の局の衛星中継車の中で目撃してしまった。
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以前にも述べたが、自局から48キロ以上離れた場所から中継をする場合、もしくは撮影したVTRを送信する場合、衛星を使う。空に浮かぶ衛星は、高価なものであり、アメリカのTV局の数だけあるものではないから、競合他社と共有することになる。なので、自分達の利用時間が訪れるまで待機している間、他社が送信している画像や、生中継の様子を垣間見る事ができてしまう。
そんな訳で、冒頭のA子さんB子さんコンビの映像は、日本のどこかのTV局がアメリカから東京に向けて送信しているものだと察しがついたし、カメラが収めたすべてのテープをそのまま流していることから、きっと受け取った所で編集するんだろーなー、と予想できる。
さて、このボストン発日本向けレポート、どうしても腑に落ちない点が、文化面、倫理面でそれぞれ1つづつあった。
まず、“Are you disappointed with Dai-S-Ke?”という質問。これは熱狂度では全米一位、二位を争うレッドソックスファンには、ちと過酷な問いかけだ。
シーズンが始まったばかり、それも、たがが3敗4敗程度である。そんなこと位で自分の贔屓選手の揚げ足を取ろう、それも公共の場で「あいつには失望したよ」と口に出すアメリカのファンなんぞ皆無なんじゃないかと思う。質問に戸惑って、逃げていく人が多いのも当たり前である。
次に、このボードには、YESとNOの項目があって、ガッカリしたのなら、YESの欄に青いシールを、ガッカリしていないのならNOの欄に赤いシールを張ってもらうようになっている。ところが新しい人が登場するたびに、そのシールの数が不自然に増えているのである。7人目のインタビュー時に、すでにYESに10個、NOに30個ほどのシールが張られているのだ。
カメラが回っていない時点で、だれかがシールを恣意的に加えているのだろうか?それに、YES対NOが微妙に1:3の割合になっているのも何かキナ臭い。
要するに、
「地元のファンに聞きました。反応は、ガッカリしたファンもいましたが、それ以上に、やはりこれからだ、という期待の声が多かったようです」
なんていう、筋書きがあらかじめできているようにしか思えない。
“松坂投手にガックリしましたか?”コーナーが実際どのように編集され放映されたのか、とても気になる。







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by 合法ハーブonoff (2010-05-10 16:16)